飛鳥時代に作られもとは法隆寺の金堂に安置されていた、仏堂形の厨子(仏像を安置する両扉の箱)で日本国宝とされている。
建築様式的には法隆寺の西院伽藍よりやや古い時代を示し、飛鳥時代の建築、工芸、絵画の遺品として重要である。透かし彫りの飾金具の下に本物の玉虫の羽を敷き詰めて装飾したことからこの名がある。現在、玉虫の羽は一部に残るのみで、当初の華麗さを想像するのはむずかしい。
厨子の扉や壁面の装飾画も著名で、釈迦の前世物語である「捨身飼虎図」(しゃしんしこず)、「施身聞偈図」(せしんもんげず)は特によく知られている。